皆さん、こんにちは。
財務担当役員をしております、白井です。
日々の業務では数字と向き合うことが多い私ですが、先日、ある出来事をきっかけに
仕事における「本当に大切なこと」を再認識させられる、非常に心に残る経験をしました。
今日はその時のお話を少しさせてください。
先日、地元の有力な金融機関が開催した経営説明会に参加する機会がありました。
そこで語られたのが、地域の基幹産業である造船業への「伴走支援」についてです。
そのお話の中で、私の心を強く揺さぶったのが『先義後利(せんぎこうり)』という言葉でした。
この言葉は、中国の儒教思想に由来し、
「まず人としての正しい道(義)を優先し、利益の追求はその後にすべきである」
という意味を持ちます。
正直なところ、金融機関のトップの方の口からこの言葉が出たことに、私は大きな衝撃を受けました。
というのも、私が若かった頃、仕事の恩人から
「金融機関というのは、『晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる』もんなんだ」
と、よく聞かされていたからです。
つまり、会社の業績が良いときには積極的に融資をしてくれるけれど、いざ経営が苦しくなると、
さっと融資を引き上げてしまうことが多い、という意味合いです。
この言葉が長年、私の中の金融機関に対する一種の固定観念になっていたのですが、
それがガラガラと音を立てて崩れ去るような瞬間でした。
お話を伺うと、こちらの金融機関では、たとえ自社の利益が一時的に減少したとしても、
まずは地域の未来を支える造船業を優先し、融資や特別なローン(資本性ローン)などを通じて
企業の財務基盤を安定させることに全力を注いでいるとのこと。
まさに、地域社会への大きな貢献です。
この具体的な行動を『先義後利』という一つの言葉で表現されている点に、
この取り組みに対する揺るぎない“本気度”をひしひしと感じ、胸が熱くなりました。
地域と共に生き、未来を創ろうとするその姿勢に、心から感銘を受けました。
今回の経験を通じ、私も改めて、目先の利益だけを追い求めるのではなく、
まず人として、そして企業として正しい行い、すなわち「義」を大切にすることの重要性を深く考えさせられました。
お客様や地域社会に対して、私たちがどうあるべきか。
そんな原点に立ち返ることができた、非常に貴重な一日となりました。